ノロウイルス、大流行の兆し ラジオ、講演会で予防呼びかけ 静岡
2010.12.9 02:33(産経ニュース)
ノロウイルスの感染による食中毒が県内でも大流行の兆しをみせている。8日現在、県内の食中毒による感染者数は昨年の発生件数を上回る14件で計499人(前年は296人)となった。全国的に大発生した平成18年の伸び率と同じ傾向をたどっているとも指摘され、県や静岡市は被害拡大に歯止めをかけようと、ラジオで急遽(きゅうきょ)、予防を呼びけるほか、専門家による講演会を実施する。
県は15日のFMラジオ放送「k-mix『しずおかデイリーメッセージ』」の番組枠を使い、「ノロウイルス食中毒の予防についてのお知らせ」を放送することを決めた。今年に入り県のホームページに「ノロウイルス食中毒注意報」を新設し、基準を超えると注意報を発令する対策は行っているものの、「ホームページは目的を持って閲覧する人がほとんど。ラジオを使えばもっと幅広く予防法を知ってもらえる」(県衛生課)と判断した。
一方、静岡市は7日、同市食品衛生協会などと、保育園の担当者や飲食店関係者、主婦ら約100人を対象に講演会を開催し、手洗いや消毒の正しい方法などを改めて確認。県環境衛生科学研究所の杉山寛治微生物部長が、(1)殺菌はアルコールでの消毒が効かないので塩素系の消毒液を使う(2)食品を、85度以上の温度で1分以上加熱する(3)微細ウイルスのため、せっけんで30秒以上手洗いする-といった対策を指導した。
ただ、ノロウイルスの感染は食中毒だけでなく、患者の便や嘔吐(おうと)物を介して広がるケースも多い。8日も、静岡市の「賎機(しずはた)保育園」「やよい幼稚園」で、ノロウイルスによる感染性胃腸炎が集団発生した。同市内の感染者数は4月から計334人と増加の一途をたどっている。杉山部長は「乾いた吐(と)物を掃除機で吸い込むと、噴射され、空気感染する恐れもあるので、十分拭き取りしてほしい」と呼びかけている。